2012年3月に静岡県警の30代男性警部補が自殺したのは過重な業務が原因だとして、妻子と両親がそれぞれ県に損害賠償を求め、高裁段階で判断が分かれていた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)は7日、業務と自殺には因果関係があると判断した。
その上で妻子に対し約1億円の支払いを命じ、両親については損害額算定のため二審広島高裁に審理を差し戻した。裁判官4人全員一致の結論。
第2小法廷は「業務を総合的に考慮すべきであり、公務災害の認定基準に縛られなくてもよい」との判断を示した上で、自殺直前の時間外勤務が月112時間を超えていたことなどから「過重な業務が精神疾患の発症と自殺を招いたと認めるのが相当だ」と指摘した。
一審広島地裁福山支部は、いずれの訴訟の判決も因果関係を認定し、妻子には計約1億円、両親には計220万円の支払いを認めた。だが二審広島高裁では判断が分かれ、両親の訴訟では請求を退けた。
判決によると、男性は静岡県警下田署の交番長として勤務。業務の多さや長時間勤務などから精神疾患を患い自殺した。
(共同通信社)