政府は、頭痛や気分の落ち込みなど更年期症状や生理に伴う体調不良の女性従業員を支援するよう企業に求める女性活躍推進法改正案を今国会に提出する。推進法成立から10年。働く女性の健康上の課題に配慮すべきだと初めて明記。休暇制度の拡充や相談窓口の整備などを促す。ジェンダー平等に向け、男女の賃金格差と女性管理職比率の公表を従業員101人以上の企業に義務付けることも盛り込んだ。
業務効率が低下したり通勤がつらかったりと健康面で悩みを抱える女性は多く、退職する人もいる。両立しやすい職場につながるかどうかが問われる。政府は女性の健康問題による経済損失を年間約3兆4千億円と試算しており、企業経営でも重要なテーマとなる。
改正案が成立すれば、厚生労働省が対策の検討を本格化させ、年内には実行に移したい考え。
具体的には、女性活躍に向け企業に策定を義務付けている「行動計画」に、「女性特有の健康課題に配慮した取り組み」の項目を加える。
生理で業務が困難な場合は法定の「生理休暇」があるものの、厚労省によると「男性上司に申請しにくい」などの理由で取得は低迷。名称変更も含め改善策を検討する。
更年期症状のほか、女性の負担が大きい不妊治療を対象とした「法定休暇」はない。休みやすくするため、企業が就業規則などで対応できる「特別休暇」の創設を後押しする。相談窓口の設置や、職場の理解促進へ社員研修の普及を図る。
厚労省研究班の2023年調査によると、更年期症状や、より症状が重い更年期障害の人の76・1%が仕事に支障があると答えた。腹痛など生理に伴う症状でも83・7%が同様の回答をした。
男女の賃金格差の状況に関する公表義務は、現在301人以上の企業が対象で、101人以上に拡大する。新たに女性管理職比率も公表義務の対象とする。いずれも26年4月から実施する方向。自社ホームページなどで公開する。
(共同通信社)