保険料増、29年まで3段階 厚生年金、高所得者対象

 厚生労働省は、高所得の会社員らが払う厚生年金保険料の引き上げを2027年9月から29年9月にかけて3段階で実施する方針を固めた。当初は27年9月に一度に引き上げる想定だったが、負担の急増に配慮して段階を踏む。働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」の見直しに伴い、保険料収入を増やして財政を改善する。関係者が20日、明らかにした。 年金制度改革関連法案に盛り込み、今国会提出を目指す。
 保険料の算定基準となる標準報酬月額の上限(現在65万円)を、27年9月に68万円、28年9月に71万円、29年9月に75万円へ引き上げる。対象は賞与を除く年収798万円以上の会社員らで、200万人を超える見通しだ。保険料は月額で最大約9千円増える。納める保険料が増えれば、本人が老後に受け取る年金額も増える。
 在職老齢年金制度の見直しでは、厚労省は減額の適用基準額(賃金と年金の合計)を現在の月50万円から62万円へ上げる方針。満額支給の人が増えて年金財政が悪化するため、高所得者の保険料引き上げで賄う。
(共同通信社)