厚生労働省は、従業員が払う社会保険料の一部を企業が肩代わりできる仕組みを導入した場合、肩代わりした分の8割を中小企業側に還付する方向で調整に入った。パートら短時間労働者の働き控えを招く「106万円の壁」対策の一環。手取り減を緩和すると同時に、保険料を労使で折半する企業側の負担も軽減する。2026年10月から3年間の特例とする。関係者が17日明らかにした。
厚労省は、パートらが厚生年金に加入するための年収要件(106万円以上)などを撤廃する方針。撤廃した場合、新たに約180万人の加入が見込まれる。厚労省は一連の制度改革を関連法案に盛り込み、今国会提出を目指している。年収要件は、法成立から約3年以内の撤廃を想定している。特例は要件の撤廃時期によらず導入する。
特例の対象は「年収151万円未満」の従業員とし、「従業員50人以下の企業」と「5人以上の個人事業所」に限定する。肩代わりできる割合は国が一律で定める。特例を適用しても、従業員が将来受け取る年金額は変わらない。
例えば年収106万円の従業員の社会保険料は年金と医療を合わせて約1万2千円となる。特例の適用で企業側が通常より約6千円多く支払った場合、従業員の負担はその分軽くなる。企業には肩代わりした分の8割の5千円弱が還付される。
厚生年金加入拡大や肩代わりの仕組みには、新たに保険料負担が生じる企業側から反発が上がっていた。還付の特例導入で企業の負担を軽減するとともに人手不足を解消する効果も見込む。
(共同通信社)