熱中症死、二審も賠償命令 横浜の船舶会社に責任認定

 2013年、サウジアラビアで船の補修作業をしていた30代男性従業員が死亡したのは、横浜市の船舶修理会社が適切な対策を怠り熱中症になったためだとして、遺族が会社側に約6350万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は18日、熱中症と認定し約4860万円の支払いを命じた一審福岡地裁小倉支部判決を支持し、双方の控訴を棄却した。
 高瀬順久裁判長は判決理由で、会社側は「熱中症の一般的知見を踏まえ、発生を未然に防止する措置を取る義務を負う」と指摘。水分補給などを労働者に任せ、発症リスクの客観的評価を踏まえた具体的な指導をしていなかったと判断した。
 原告代理人の古川拓弁護士は記者会見で、熱中症に関し、会社の損害賠償責任が認められるのは珍しいとして「温暖化が進む中で、会社がどう対策すべきか示された」と評価した。北九州市に住む母親は「今後、息子のようなことが起きないよう教訓にしてほしい」とコメントを出した。
 判決によると、男性は13年8月17日から屋外作業に当たっていたが、その後体調不良を訴えて同29日に死亡した。
(共同通信社)