年金満額26年4月から拡大 働くシニア月収62万円まで 就労促進、人手不足解消

 厚生労働省は、働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」を見直し、満額支給の対象を拡大する時期を2026年4月からとする方針を固めた。年金を減らす基準額(賃金と年金の合計)を、現在の月50万円から62万円に引き上げる方向で調整している。「働き損」を解消して就労を促し、人手不足対策につなげる。関係者が16日、明らかにした。
 年金財政の悪化を避けるため、高所得の会社員が払う厚生年金保険料を27年9月から引き上げる。保険料算定の基になる標準報酬月額の上限(現在65万円)を75万円とする方向だ。
 年金制度改革の関連法案に盛り込み、通常国会提出を目指す。
 在職老齢年金は、賃金と厚生年金(基礎年金部分を除く)の合計が基準額を上回った分の半額を減らす仕組み。働きながら年金を受給する65歳以上は22年度末時点で約308万人に上り、就労意欲を阻害しているとの指摘があった。基準額を62万円に引き上げた場合、満額受給の高齢者は20万人増える見込み。
 一方、会社員らが死亡した際に配偶者が受け取る遺族厚生年金の男女差は28年4月から20年間かけて是正する。子どもがいない60歳未満の現役世代は男女一律で原則5年間の有期給付とする。現行制度は、男性が家計の主な担い手だった時代の考えを背景に女性側に手厚くなっている。
(共同通信社)