2024年12月26日  共同通信社

従業員保護、企業に義務化 カスハラ対策で報告書

 厚生労働省は26日、顧客らが理不尽な要求をする「カスタマーハラスメント」(カスハラ)から従業員を保護する対策を全企業に義務付けるとした報告書をまとめた。労働政策審議会分科会に示し、了承を得た。深刻化する職場のハラスメント対策を強化し、従業員が安心できる就労環境を整える。来年の通常国会で関連法案提出を目指す。
 報告書では、カスハラを(1)顧客や取引先、施設利用者らが行う(2)言動が社会通念上相当な範囲を超える(3)就業環境が害される-の3要素を満たすものと定義。言動などから判断し、1回でも該当するとした。
 従業員保護の具体策として、事前にカスハラ対応方針を明確化して周知するとともに、被害に遭った従業員からの相談に適切に対応する体制整備を挙げた。「正当なクレーム」はカスハラではないとも指摘した。
 就職活動中の学生へのセクハラ防止策も企業に義務付ける。従業員が被害を受けるセクハラと異なり、法律上の対策義務がなかった。学生と面談する際のルールを事前に定め、被害の相談窓口設置や周知、被害者への謝罪対応を求めた。
 報告書には女性活躍推進施策も盛り込んだ。従業員101人以上の企業に対し、管理職に占める女性比率の公表を義務化。男女の賃金格差の公表義務は、対象企業を現行の301人以上から101人以上に広げる。
(共同通信社)