福利厚生の一環として、
奨学金の代理返還や手当支給により
優秀人材の採用・定着を図る
人手不足を背景に新卒採用の売り手市場化が続く中で、労力をかけて採用した人材の短期離職も問題となっている。2021年3月の新規大学卒就職者の就職後3年以内離職率は34.9%(前年度比2.6ポイント増)となっており(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」)、特に宿泊業,飲食サービス業や生活関連サービス業,娯楽業等では半数前後が3年以内に離職する実態がある。人材の採用と定着は、人事部門だけの問題ではなく、今や経営課題の一つとなっている。
そのような中、若手社員の働きやすさを高める福利厚生施策の一つとして、奨学金返還支援制度に注目が集まっている。これは、企業等が奨学金返還残額を日本学生支援機構に直接送金したり、返還金額分の手当を支給したりして社員を支援する取り組みだ。相対的に賃金水準の低い若手社員にとって、毎月の奨学金返還の負担は決して小さくない。奨学金返還支援制度によって負担を軽減し、社員が安心して長く働ける環境を整えることができる。また、採用選考時には、学生に対してアピールできるメリットもある。
本特集では、日本学生支援機構 奨学事業戦略部の担当者に奨学金返還支援(代理返還)制度導入・運用のポイントを説明いただくとともに、いち早く制度を導入して効果を上げている2社の事例を紹介する。