年金総額最大451万円増 給付水準底上げで政府試算

 厚生労働省は10日、全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする制度改革を実施した場合、生涯受け取る年金の総額が最大451万円増加するとの影響試算を公表した。年金を受け取り始める時期などによっては総額が最大76万円減少するケースもあった。社会保障審議会部会に示した。
 基礎年金の財政状況が厳しいのに対し、会社員らが入る厚生年金は堅調なため、厚生年金の積立金を基礎年金の給付に振り向けて底上げする。基礎年金の給付水準の低下を防ぐ狙いで、将来の給付が手厚くなる。
 厚労省は2025年の通常国会に提出する関連法案に底上げ方針を盛り込みたい考えだが、兆円単位の財源確保が必要になることなどから審議会部会では賛否が分かれている。
 試算によると、24年度から平均余命の22年間受け取った場合の総額は、厚生年金に40年間加入した会社員の夫と専業主婦の「モデル世帯」は31万円減少。単身世帯の一部は76万円減少する。基礎年金の底上げ効果より厚生年金の積立金を振り向けることに伴う水準低下の影響が大きいため減少する。
 40年度から同様に22年間受け取った場合は基礎年金底上げ効果の方が大きくなり、モデル世帯では451万円増加。単身世帯の一部は136万円増加した。
(共同通信社)