10月実質賃金、前年同水準 物価抑制もプラス届かず

 厚生労働省が6日公表した10月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)で、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月比の増減が0・0%で同水準だった。電気・ガス料金を抑える政府の補助金の効果で物価上昇は一定程度抑制され、3カ月ぶりにマイナスは脱したが、プラスには届かなかった。
 厚労省の担当者は「11月分は冬の賞与が反映され始めるが、実質賃金がプラスになるかどうかは物価の動向次第だ」と話す。
 名目賃金に当たる現金給与総額は34カ月連続プラスの2・6%増で29万3401円。統計に用いる消費者物価指数も2・6%上がり、実質賃金は差し引きで前年同月と同水準となった。
 10月以降、全国で最低賃金が引き上げられた。現金給与総額のうち、基本給を含む所定内給与は2・7%増の26万5537円で、31年11カ月ぶりの高い伸び。パートタイムを含まない一般労働者に限れば2・8%増の33万6070円で、比較可能な1994年1月以降で最高の伸びだった。
 残業代などの所定外給与は全体で1・4%増の2万341円。主にボーナスが占める「特別に支払われた給与」は1・7%減の7523円だった。
 実質賃金は2022年4月以降、円安や原油高などの影響で過去最長の26カ月連続マイナスを記録した。今年6、7月はプラスに転じたが、8、9月はマイナスだった。
(共同通信社)