厚生労働省は3日、社会保障審議会の部会を開き、家族を扶養している人の年金受給額の加算を見直す方針を示した。子育て支援を強化するため、子どもがいる場合の加算は拡充。一方、共働き世帯の増加を踏まえ、配偶者がいる場合の加算は将来的に縮小する方向だ。次期年金制度改革の主要な論点が出そろった。
月内の取りまとめに向け、議論は大詰めを迎える。厚労省は与党との協議も経て、来年の通常国会に改革の関連法案提出を目指す。
加算は「加給年金」と呼ばれる。会社員向けの厚生年金で65歳以上の受給者に、子ども(原則18歳になる年度末まで)や65歳未満の配偶者がいる場合、年金額を上乗せする仕組み。
現在の上乗せ額は子どもが第1子、第2子は年23万4800円、第3子以降は年7万8300円。厚労省は第3子以降の加算額を第1子、第2子と同額にした上で、金額も引き上げるとした。受給者は推計約3万6千人。
自営業者ら向けの基礎年金(国民年金)では、子どもがいる場合の加算がないため、新たに加算を設け、約2万2千人の受給を見込む。金額は今後調整する。
配偶者の加算は現在、最大年40万8100円で約92万人が対象。厚労省は、現在受給している人は加算を維持しつつ、今後新たに受け取る人は加算を縮小していく方針を示した。具体的な時期は明示していない。
この日の部会では、低所得者を対象に、国民年金保険料の納付を猶予する制度の期限を現行の2030年6月から5年間延長する案も示し、大筋で了承された。猶予を受けて10年以内であれば追納できる。22年度時点で約58万人が利用している。実際に追納したのは、猶予を利用した人の7・0%だった。
(共同通信社)