厚生労働省は、全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする方針だ。基礎年金だけに入る自営業者らが老後に受け取る年金の水準低下を防ぐ。基礎年金の財政状況が厳しい一方、会社員らが入る厚生年金は堅調なため、厚生年金の積立金(剰余金)を基礎年金の給付に振り向ける。2036年度以降の給付水準は現在の見通しより3割程度改善する。関係者が19日明らかにした。
厚労省は、厚生年金受給者の大半も給付が手厚くなるとしているが、保険料を折半して負担している会社員や企業の反発も予想される。社会保障審議会の部会で議論を進め、25年の通常国会に制度改革関連法案の提出を目指す。
基礎年金の財源の半分は国庫(税)で賄っている。給付水準を改善する場合、追加で必要となる国庫分は40年度は5千億円、70年度には2兆6千億円に上る。法案には安定財源の確保を政府に義務付ける規定を盛り込むが、具体策は検討課題とする。
両年金の財源は別々に管理され、それぞれ財政が安定化するまで「マクロ経済スライド」という仕組みで給付水準を抑制している。給付水準は「現役世代の手取り収入と比べた年金額の割合」で表され、24年度は61・2%。うち基礎年金部分が36・2%、厚生年金部分は25・0%。
現行制度のままだとマクロ経済スライドによる抑制が57年度まで続き、以降の水準は50・4%(基礎25・5%、厚生24・9%)で下げ止まる。厚生年金は横ばいだが、基礎年金は3割目減りする。
厚労省によると、厚生年金の積立金は23年度末時点で243兆円。基礎年金に活用した場合、給付水準は36年度に56・2%となり、うち基礎年金部分は33・2%で3割程度改善する。マクロ経済スライドによる抑制は36年度で終わるため、以降は給付水準が下げ止まる。
(共同通信社)