厚生労働省は1日、働く人の心の健康を守る「ストレスチェック」制度に関し、現在努力義務となっている従業員50人未満の企業にも実施義務を広げ、全企業を実施義務の対象とすることを盛り込んだ有識者検討会の中間取りまとめを公表した。
ストレスチェックは2015年12月から始まった。中間取りまとめによると、実施割合は23年時点で従業員50人以上の企業などで81・7%だった一方、50人未満は34・6%にとどまっていた。また、精神障害の労災認定件数は23年度で883件と過去最多となっており、対策強化が課題となっていた。
中間取りまとめは「自身が受けているストレスの状況に気付く機会は、全ての労働者に与えられるのが望ましく、規模に関わらない」と指摘。実施義務対象を50人未満の企業にも拡大するのが適当だとした。
また、規模の小さい企業では産業医がいない場合があるため、労働者のプライバシーを守る観点から外部委託を推奨し、内容は職場に応じたものにする必要があるとした。労働基準監督署への実施結果の報告は負担軽減の観点から義務とせず、支援体制の整備や周知など十分な準備期間を確保するのが望ましいとも言及した。
厚労省は1日、健康診断に関する別の検討会の中間取りまとめも公表。女性の就業率の増加に伴い、健康課題への対応の重要性が高まっているとして「一般健康診断問診票に女性特有の健康課題に関わる質問を追加することが適当」とした。月経困難症や更年期障害などを対象としている。
検討会の取りまとめは今後、企業側・労働者側の代表者も含む厚労省の審議会で議論される。
(共同通信社)