山口県宇部市の消防署員の松永拓也さん=当時(27)=が2019年に自殺したのは上司のパワハラなどが原因として、両親が宇部・山陽小野田消防組合に計約1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁は30日、パワハラの一部を認定しつつ自殺への責任を認めなかった一審山口地裁判決を支持し、両親の控訴を棄却した。両親側は上告する方針。
3月の地裁判決は先輩職員や上司による長時間の叱責や無視などをパワハラとして認定した一方、自殺への責任は負わないとし、消防組合に計200万円の賠償を命じた。高裁の倉地真寿美裁判長も「自殺に至る精神障害を発症すると予見することはできなかった」とした。
消防組合は判決を受け「代理人弁護士に相談した上で適切に対応する」とのコメントを出した。
判決などによると、松永さんは14年ごろから多数回のパワハラで多大な精神的苦痛を受けていた。宇部中央署員だった19年1月、職場のパワハラ問題を訴えた遺書を残し、アパートで死亡しているのが見つかった。
21年には上司からハラスメントを受け、何らかの精神疾患を発症し自殺したとして公務災害に認定された。
(共同通信社)