滋賀の社福側に賠償命令 前理事長が職員らに性加害

 障害者の文化芸術活動推進に取り組む社会福祉法人「グロー」(滋賀県近江八幡市)の北岡賢剛前理事長から性暴力やセクハラを繰り返し受けたとして、元職員の女性ら2人が北岡氏とグローに計約5200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は24日、性加害を認定し、計660万円の支払いを命じた。
 北岡氏側は提訴から3年以上前の出来事で、損害賠償が請求できる期間が経過し時効が完成したと主張していたが、野口宣大裁判長は原告のうち1人については時効を認めず、慰謝料支払いを命じた。もう1人については時効を認めたが、法人としてのグローがセクハラ防止など職場環境を整える義務を果たさなかったと認定した。
 判決によると、2人はそれぞれ、ホテルで北岡氏と2人きりにさせられ、無理やり胸や下半身を触られた。また、意に反して繰り返し体を触られたり、キスされたりしたほか、セクハラに当たる発言や電話、メールを何度も受けるなどした。
 原告側の代理人弁護士は判決後に東京都内で記者会見し、「性被害やセクハラでどんな精神的苦痛を受けるのか適切に捉えておらず、賠償金額があまりにも低い」と批判した。
 北岡氏は障害者福祉の分野で知られ、内閣府障害者政策委員会の委員などを務めたが、提訴された後に辞任した。
(共同通信社)