公正取引委員会と厚生労働省は18日、フリーランスを保護する新法が11月1日に施行するのを前に、新法の理解や発注者との取引実態に関する調査結果を発表した。新法の内容を知らないフリーランスは76・3%、発注側の企業も54・5%に上り、認知不足が浮き彫りになった。公取委は周知徹底を進め、問題が多い業種を抽出して追加で調べる方針だ。
調査は5~6月にインターネットで実施し、直近1年間に発注した企業と受注したフリーランスの計1872件を集計した。業種別では個人で工事を請け負う「一人親方」の酷使が問題視される建設や、医療・福祉で特に新法の認知度が低かった。
新法で義務付けられる業務内容や報酬といった取引条件の明示については、フリーランスの44・6%がされたことがないと答えた。企業も17・4%が明示していなかった。
フリーランスからは「(取引条件の)多くは口約束だ。メールなどの文字で証拠を残すことを嫌がる」(情報通信業)との指摘があった。新法で禁止される発注した仕事の成果物の受領拒否はフリーランスの20・1%が経験したと回答。理由のない報酬の減額も28・1%だった。
他にも「仕事をしても勉強だからとギャラ不払いが何度もあった」(娯楽業)、「物価高による運賃の値上げをお願いしても、半数は受け入れてもらえない」(運輸業)との声が上がった。
(共同通信社)