リアリティ・ショックを理解し、
効果的なオンボーディング施策をデザインする
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」によると、2020年3月卒の就職後3年以内の離職率は、大学卒で32.3%となっている(本誌第4082号-24. 8. 9/ 8.23参照)。大学卒の新卒採用者の3割が3年で離職する傾向は、年によって多少の動きはありつつも長期的に変わっていない。しかし、新卒採用が売り手市場化する中、せっかく多大な採用経費をかけて獲得した若手人材が早々に去ってしまうとなると、コスト面での損失ばかりでなく、中長期的な人員計画や事業計画にも影響を及ぼすため、昨今は「早期離職」への課題感を持つ企業が多い。単に離職者数を減らすだけでなく、新卒採用者がスムーズに組織になじんだ上で、やりがいを持って業務に取り組んでもらうことが理想的だが、簡単なことではない。
本特集では、甲南大学経営学部教授の尾形真実哉氏に、新卒採用者が入社後に直面する「リアリティ・ショック」とは何か、また、「組織になじませる力」(オンボーディング)を高める方法と施策をデザインする視点について解説いただいた。

おがた まみや
甲南大学 経営学部経営学科 教授