遺伝情報に基づく差別禁止 厚労省、労働法令を解説

 医療に用いられる個人の遺伝情報に基づく雇用差別は、法令で禁止されていることを企業や労働者に周知しようと、厚生労働省はQ&A形式とした労働分野の法令解説をまとめた。20日からホームページ上で公表している。国に差別防止の取り組みを求める内容が盛り込まれたゲノム医療推進法の施行に伴う措置。
 解説によると、企業が労働安全衛生法に基づく労働者の健康管理のためとして、遺伝情報を収集することはできない。職業安定法では、業務目的に必要な範囲内で求職者の個人情報を収集するとされているが、遺伝情報は「社会的差別の原因となる恐れのある事項」に該当し、収集は禁じられている。
 労働者は個人情報保護法などにより、遺伝情報の提出を求められても応じる必要はない。提出しないことを理由に、企業が人事評価を下げるなどの扱いをするのは不適切な行為とされる。
 仮に労働者が遺伝情報を提出した場合、企業がその情報を根拠に解雇したり、不利益な人事考課をしたりするのは、解雇権や裁量権の乱用で無効と考えられる。労働者が不利益な扱いを受けた場合は、都道府県労働局や労働基準監督署の窓口で相談を受ける。
 厚労省の担当者は「遺伝情報はあくまで医療に役立てられ、企業活動に利用する手段ではない」と強調している。
(共同通信社)