未払い分最大86億円支給へ 東京メトロ、労基署勧告で 宿泊勤務の「休憩」は労働

東京メトロは8日、通信機器の保守に従事する社員の泊まり勤務での休憩時間が、実質的には労働時間に当たるとして、割増賃金を支払うよう足立労働基準監督署(東京都足立区)から是正勧告を受けたと発表した。グループ会社も含め、同様の勤務シフトがある約1800人に、最大で総額約86億円を「清算金」として支払う可能性があるとしている。

 東京メトロによると、勧告対象は日比谷線の信号や防犯カメラ、電話機などの保守を担当する職場。24時間の泊まり勤務中、夜間や朝に設けている休憩・睡眠時間計7時間50分について、労基署は機器の不具合などで緊急対応する頻度が増えているとして、労働時間に該当するとの見解を示した。

 泊まり勤務は毎月7回程度で、緊急対応の頻度は3回に1回のペース。東京メトロは、過去30年間で、防犯カメラの台数が約30倍に増えたことなどが影響したと説明している。

 東京メトロは、これまで緊急対応があった場合はその都度、代わりの休憩時間を設けたり手当を支払ったりしていた。勧告を踏まえ、今後は泊まり勤務の時間を短縮し、各自の休憩時間をずらして睡眠を確保するといった取り組みを試行。来年1月から本格実施する。清算金は過去3年分を2024年度中に支払う。

 労基署が関係者から通報を受け、今年1月に立ち入り検査していた。東京メトロは「社員の働き方の改善に努める」としている。

(共同通信社)