厚生労働省が6日公表した6月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月から1・1%増え、27カ月ぶりにプラスに転じた。2022年4月以降、過去最長のマイナスが続いていたが、春闘による賃上げや夏のボーナスで名目賃金が増加し、高騰する物価を上回った。ただ7月以降のボーナスの動向は見通せず、プラスが継続するかどうかは不透明だ。
厚労省の担当者は、賃上げにより基本給を中心とする所定内給与が堅調に伸びていることに加え「ボーナスを6月に支払った事業所が前年より増えた」と分析。一方、昨年まで7月にボーナスを支払っていた事業所が前倒しで支給した可能性があるとして、推移を注視する考えを示した。
名目賃金に当たる現金給与総額は4・5%増の49万8884円で、30カ月連続のプラス。統計の算出に用いる消費者物価指数は3・3%上昇した。差し引きで実質賃金はプラスとなった。
現金給与総額の内訳は、所定内給与が2・3%増の26万4859円、残業代などの所定外給与が1・3%増の1万9483円だった。所定内給与は約30年ぶりの高い伸びだった。主にボーナスが占める「特別に支払われた給与」は21万4542円で、7・6%の大幅増を記録した。
現金給与総額を就業形態別に見ると、一般労働者は4・9%増の66万4455円、パートタイム労働者が5・7%増の12万1669円。一般労働者の所定内給与は2・7%増で、比較可能な1994年1月以降で最高の伸びだった。
(共同通信社)