本書は、1983年に刊行された『Structure in Fives:Designing Effective Organizations』をアップデートしたものであり、同時に、組織という存在の全体像を理解する上での、著者の集大成的な本になります。第1章で、組織とは何かを定義し、以下、7部構成で組織というものを解き明かしていきます。
第Ⅰ部「組織を再検討する」では、第2章で、組織の構成要素同士の関係について、「チェーン」「ハブ」「ウェブ」「セット」の4類型を紹介しています。第3章では、著者の提唱する組織の3要素である「アート」「クラフト」「サイエンス」が、意思決定、戦略形成、マネジメントなどにおいてどのような役割を果たすかを解説しています。
第Ⅱ部「組織デザインの基本的な構成要素」では、第4章で、組織における「調整」のメカニズムにどのようなものがあるか、第5章で、組織デザインの構成要素としてはどのようなものがあるか、第6章で、これらの要素に影響を与える文脈上の要素について見ていきます。
第Ⅲ部「4つの基本的な組織形態」では、第7~10章で、個人が君臨する「パーソナル型」、工程が機械のように決められている「プログラム型」、専門家の寄せ集めである「プロフェッショナル型」、革新を目指す「プロジェクト型」の各組織形態を紹介し、第11章で、それらを比較しています。
第Ⅳ部「組織を形づくる7つの基本的な力」では、第12章で、“4つの組織形態” に作用する「4つの力」として、パーソナル型組織の「統合」、プログラム型組織の「効率」、プロフェッショナル型組織の「熟達」、プロジェクト型組織の「協働」を挙げています。第13章では、すべての組織形態に関わる「3つの力」として、組織の一体性を強める「文化の注入」と、一体性を弱める「上からの分離」「対立の侵食」について指摘します。
第Ⅴ部「さらに3つの組織形態」では、第13章の「3つの力」と組織形態の関係について、「分離」の影響が大きい場合には「事業部型」に(第14章)、「文化」の影響が大きい場合は「コミュニティショップ型」に(第15章)、対立の影響が大きい場合は「政治アリーナ型」に(第16章)なるとしています。
第Ⅵ部「組織類型の枠を超えて作用する力」では、第17章で、一つの力が絶対的な影響力を持つ組織よりも、別の力が「錨」の役割を果たして暴走を防いでいる組織が望ましいと説きます。第18章では、組織内に複数の組織が共存する「ハイブリッド型」について述べ、第19章では、組織のライフサイクルにおける組織形態の転換のプロセスを検討しています。
第Ⅶ部「7つの類型を超えて」では、これまで述べてきた(4プラス3の)“7つの類型” を超えた組織づくりを探り、どのようにして組織が境界線を解放するか(第20章)、組織構造をデザインするプロセスをどのようにして開放するか(第21章)を見ています。
経営学の巨匠として知られる著者ですが、自分は経営理論家というより組織理論家の側面が強いとしているように、組織というものに関して、今日的・将来的な視点も含め、体系的によくまとめられた本です。
概念的な記述が多いものの、豊富な図表が理解を助け、具体例もふんだんに取り上げられています。まず通読して全体の枠組みを把握し、その後、自分が関心を持った箇所を深く読み込むなど、いろいろな読み方ができる本かと思われ、組織論を極めたい人にお薦めです。
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※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』(有料版)で2024年7月にご紹介したものです
和田泰明 わだ やすあき
和田人事企画事務所 人事・賃金コンサルタント、社会保険労務士
1981年 中堅広告代理店に入社(早稲田大学第一文学部卒)
1987年 同社人事部へ配転
1995年 同社人事部長
1999年 社会保険労務士試験合格、2000年 行政書士試験合格
2001年 広告代理店を退職、同社顧問(独立人事コンサルタントに)
2002年 日本マンパワー認定人事コンサルタント
2003年 社会保険労務士開業登録(13030300号)「和田人事企画事務所」
2004年 NPO生涯教育認定キャリア・コンサルタント
2006年 特定社会保険労務士試験(紛争解決手続代理業務試験)合格
1994-1995年 日経連職務分析センター(現日本経団連人事賃金センター)「年俸制研究部会」委員
2006年- 中央職業能力開発協会「ビジネス・キャリア検定試験問題[人事・人材開発部門]」策定委員
2009年 早稲田大学オープン教育センター「企業法務概論」ゲストスピーカー
