2024年春闘の都道府県別の平均賃上げ率が判明した33道府県のうち、23道府県で全国平均の5・08%を下回ったことが27日、内閣府が初めて公表した「地域課題分析リポート」で分かった。製造業の大企業が立地していない地域は低い傾向にあると分析しており、地域間格差が鮮明になった。中小企業の賃上げ率は低かった。
各地の連合の定期昇給を含む賃上げの資料などを6月21日時点で集計した。33道府県のうち、賃上げ率が最も高かったのはSUBARU(スバル)の工場がある群馬県(6・48%)だった。マツダを抱える広島県(6・04%)、電子部品大手が集中する京都府(5・85%)が続いた。
島根県(3・18%)、山形県(4・14%)、青森県(4・15%)などが低かった。医療・福祉関係や農林水産業、自治体などへの就業比率が比較的高い地域では、労使交渉による賃上げの影響が限定的になることが影響しているとみられる。
組合員数300人未満の中小企業などに限ると、全国平均は4・45%で、確認できた19道府県のうち9府県が平均を下回った。
一方、ほぼ全ての地域で賃上げ率が23年春闘を上回る傾向にあった。内閣府はリポートで「各地域で物価上昇率を上回る賃金上昇の実現が期待される」と指摘。また、全国で構造的な賃上げを実現するための方策として、中小企業などが人件費を価格に転嫁できるような環境を整備するほか、中長期的には大規模投資の呼び込みにより、地域の産業、就業構造の変革が必要だとした。
(共同通信社)