超高齢化に伴う介護離職増加に備え、
仕事との両立を促すための制度構築と職場環境の整備
令和6年5月24日、改正育児・介護休業法が参議院本会議で可決・成立した(令 6. 5.31 法律42)。本改正は、男女ともに仕事と育児・介護を両立できるよう必要な措置の拡充等を図るものであり、その骨子の一つとして「介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等」を掲げた。背景として、家族の介護等による離職者は年間10万人を超えており、介護休業をはじめとした両立支援制度が知られていない、または、制度の趣旨への理解が十分ではないため効果的な利用がなされておらず、仕事との両立が困難になっている現状がある。この状況を改善し、介護離職防止へとつなげていくため、改正法では、両立支援制度等に関する労働者への個別の周知・意向確認や、介護に直面する前の早い段階(介護保険の第2号被保険者となる40歳のタイミング等)での両立支援制度等に関する情報提供等の義務づけ、家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう事業主への努力義務などを定めている。
本特集では、介護離職を防止するための取り組みを行う3社の事例を取り上げる。後段では、ビジネスケアラー支援の現状や企業が取り組むべき施策などについて、株式会社日本総合研究所の石田遥太郎氏、石山大志氏、小島明子氏に解説いただいた。