厚生労働省が5日公表した4月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月から0・7%減った。マイナスは25カ月連続となり、3月に続いて過去最長を更新。物価高騰に賃金上昇が追い付かない状況が続いている。
大手企業を中心に賃上げ回答が相次いだ今春闘の影響もあり、3月分の2・1%減(確報)から見れば改善した。ただ歴史的な円安を背景とした物価高が長引き、今後も食品などの値上げが続く見通し。実質賃金がプラスに転じる時期は予測が難しいのが現状だ。
名目賃金に相当する現金給与総額は2・1%増の29万6884円で、28カ月連続のプラスだった。だが、統計の算出に用いる消費者物価指数が2・9%上昇し、差し引きで実質賃金はマイナスとなった。
厚労省の担当者は名目賃金に関し「春闘の効果が一定程度出ているが、良い数字が続くかはっきりしない。物価との兼ね合いもあり実質賃金のプラス転換時期は見通せない」との認識を示した。
現金給与総額の内訳は、基本給を中心とした所定内給与が2・3%増の26万4503円、残業代などの所定外給与が0・6%減の2万181円だった。所定内給与の増加幅は約29年ぶりの高水準だという。
3月の実質賃金の速報値は2・5%減だった。
(共同通信社)