2024年06月01日  共同通信社

大学生、大手志向強く 物価高、賃金低迷が影響 安定性、福利厚生を重視

 来春卒業予定の大学生らの面接など採用活動が1日、解禁された。「売り手市場」の影響もあり、民間調査では大手企業を希望する学生が半数を超えた。物価高や実質賃金の低迷など経済情勢が不透明な中、経営の安定性、福利厚生、ワークライフバランスなどを重視する声が学生たちから聞かれた。
 就職情報会社マイナビが来春卒業予定の大学生らを対象にした調査(有効回答数約3万9千)で、就職先として「絶対に大手企業がよい」が9・8%、「やりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」が43・9%となった。計53・7%は昨年から4・8ポイント増、過半数超えは3年ぶりだ。
 取材に対し、同志社大の女子学生(21)は「家族や友達の考え方に影響され自然と大企業を目指すようになった」と明かす。生活との両立を考え福利厚生や働き方を重視。就活で社員と話す機会には残業や業務の実像を尋ねている。「趣味の温泉やサウナに費やす時間も確保したい」
 東京都内の大学に通う男子学生(21)は「就活を進めるにつれ大手の安定感に引かれていった」と話す。就職後も音楽活動を続けていきたいと考え、休日数や労働組合の状況も参考にしたという。
 マイナビで調査を担当した長谷川洋介研究員は、大手企業の賃上げが報道で取り上げられたことなども影響していると分析。一方で「早期離職を防ぐために相性を見極めようと、学生を選考する企業側の目線もシビアになっている」と指摘。学生に向け「大手にこだわらず幅広い視野を持ち、思い描くキャリアが実現できる職場なのか考えてほしい」と話している。
(共同通信社)