2024年05月24日掲載

BOOK REVIEW - 『小さな会社のための人があつまる勤続重視ジョブ型給与制度の作り方』

福田秀樹 著
人事給与コンサルタント 
A5判/304ページ/1700円+税/自由国民社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 物価高や人手不足を背景に、賃金引き上げの動きが加速している。しかし、多くの中小企業において、人件費を上げるための原資を確保することは容易ではない。こうした状況を打破するための解決策として、著者は、勤続年数による評価のプラス面と欧米型のジョブ型システムを融合させた「勤続重視ジョブ型給与制度」を提唱する。

■ 本書では、第1章で在来の賃金制度を廃止すべき理由を説明した後、「勤続重視ジョブ型給与制度」に必要な “給与3種の神器” として、「①グレード毎に範囲職務給」「②昇給表」「③昇給係数」を挙げ、制度の設計等について解説している。
 まず、「実務職層」「監督職層」「管理職層」の3段階程度でグレードを設計し、職務給のレンジを設定。この3区分に加えて、市場価値の高い採用困難職種等は別体系でグレードを設ける。その上で、賃金表ではなく「昇給表」で賃金を管理し、給与レンジ内の位置に応じた「昇給係数」を用いることで、昇給額をコントロールする。第2章と第3章では、こうした一連の流れが実例を基に解説されており、賃金制度の設計に詳しくない担当者でも実務に落とし込みやすい構成となっている。続く第4章では降給の仕組み、第5章では退職金制度について、第6章ではパート従業員の賃金管理、第7章では昇降給と関連のある人事評価にも言及している。

■ 「勤続重視ジョブ型給与制度」が目指すのは、若手層の報酬を市場価値に見合った水準に引き上げて優秀な人材を獲得する一方、勤続に応じて昇給する中で評価に応じたメリハリのある給与体系とすることにより、原資のコントロールと能力ある人材の維持を両立していくことだ。本書は、人事給与コンサルタントとして300社以上の中堅・中小企業と向き合い続けてきた著者が、賃金制度の設計・運用のノウハウを詰め込んだ一冊である。人材確保や自社の制度に課題を抱えている中小企業の担当者に、ぜひ一読いただきたい。

小さな会社のための人があつまる勤続重視ジョブ型給与制度の作り方

内容紹介
年功序列型賃金から脱却し、成長する会社をつくる
これからは新卒給与25万円の時代!

やる気のある社員を成長させ、会社で働いてもらうための制度こそが勤続重視ジョブ型給与制度。その作り方を人事給与コンサルタントがおしえます。

賃金が上昇しているものの、多くの小さな会社がその原資がない状況。
しかし、優秀な若手を引き上げ会社を活性化させるためには他社に見劣りしない給与制度をつくりあげることが必須です。

小さな会社が生き残るために賃金制度こそが「勤続重視ジョブ型」給与制度。
それをわかりやすく本書では解説します。