京都大iPS細胞研究所の元職員の女性が、上司の教授からしつこく退職勧奨をされた末に懲戒解雇されたのは無効だとして、京大に地位確認や慰謝料などを求めた訴訟の判決で、京都地裁は14日、懲戒解雇は有効でパワハラはなかったとして請求を棄却した。女性側は控訴する方針。
判決によると、女性は有期雇用契約を更新していたが、2017年、教授から退職意向の有無を複数回確認された。京大は20年3月、教授のパソコンを無断で操作し機密情報の記載されたメールを閲覧したり、機密書類をスキャンしたりしたとして、女性を懲戒解雇処分にした。
女性側は教授室で秘書的業務を日常的に行うなどしており懲戒事由はないと訴えたが、斎藤聡裁判長は判決理由で「機密情報を不用意に保有した行為は職員としてふさわしいとは到底言えない」と述べ、懲戒解雇が相当との判断を示した。教授の言動についてパワハラには当たらないとした。
一方、不在時に自身の机を調査されるのではないかと考えた女性が執務スペースに自ら設置したカメラに対し、京大側は「盗撮」として懲戒事由にしたが、裁判長は労働者としての自衛が目的だったと認定し懲戒事由には該当しないと指摘した。
(共同通信社)