厚生労働省は30日、3月の有効求人倍率(季節調整値)が前月比0・02ポイント上昇の1・28倍だったと発表した。上昇は2022年11月以来1年4カ月ぶり。賃上げを見据え転職の動きが鈍くなり、求職者数が減ったことが主な理由だ。総務省が同日発表した3月の完全失業率(同)は、前月と同じ2・6%だった。
厚労省は3月の雇用情勢判断について「求人が底堅く推移しており、緩やかに持ち直している。物価上昇などの影響に留意する必要がある」としている。
有効求人倍率の23年度平均は前年度比0・02ポイント低下の1・29倍。3年ぶりに悪化した。原材料価格の高騰で新たな人材を雇用する余裕がなかった建設業などで求人が減ったため。
3月の都道府県別有効求人倍率は、最も高い福井県が1・80倍。最も低いのは神奈川県の0・93倍だった。新規求人数を主要産業別で見ると、製造業は前年同月比10・8%減、建設業が8・6%減。一方、電気・ガス・水道業では8・1%増、金融・保険業は6・5%増だった。
男女別の完全失業率(3月)はいずれも横ばいで、男性が2・7%、女性が2・6%。完全失業者数は前年同月比8万人減の185万人だった。
23年度平均の完全失業率は前年度と同じ2・6%だった。完全失業者数も変わらず178万人。就業者数は28万人増の6756万人で、このうち女性は比較可能な1953年以降で過去最多の3059万人だった。
(共同通信社)