企業年金の運用成績開示 厚労省方針、利益向上狙う 他社と比較可能に

 厚生労働省は24日、企業年金の運用成績などの情報を開示する方針を決めた。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会が了承した。成績を他社と比較できるようにすることで運用を効率化し、加入者の利益を向上させる狙い。政府が2025年の通常国会に提出する予定の年金制度改革関連法案に盛り込み、開示項目などを24年末までにまとめることを目指す。
 厚労省がいったん情報を集約した上で、企業別などで開示する仕組みとすることを想定している。
 企業年金は、公的年金である国民年金、厚生年金とは別に主に企業が運用する私的年金。給付額があらかじめ保証されている「確定給付企業年金」(DB)と、従業員が商品を決めて運用の結果により年金額が変動する「確定拠出年金」(DC)がある。加入者はDBとDCを合わせ22年度末で計約1700万人。
 運用成績などはこれまで加入者や厚労省には報告されてきたが、対外的に開示していなかった。成績以外に運用の方針や体制を含めて開示対象とすることで、他社にも判断材料としてもらいたい考えだ。
 小規模な事業主の事務負担が重くなることを考慮し、加入者数が一定以下の場合は開示対象外とする方針。具体的な線引きは今後詰める。
(共同通信社)