2024年04月15日  共同通信社

陸自パワハラで賠償命令 大分の遺族に1億円、札幌

 陸上自衛隊第7師団(北海道千歳市)の航空操縦士だった男性=当時(27)=が2020年に自殺したのはパワーハラスメントが原因だとして、大分県に住む両親ときょうだい3人が国に計約2億800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は15日、計1億2330万円の支払いを命じた。
 国はパワハラがあったことは認め、金額を争っていた。右田晃一裁判長は「突然の自殺で失い、甚大な精神的苦痛を被った」と指摘した。
 判決によると、男性は防衛大卒業後、17年に同師団に配属。18年11月以降、直属の上司から「ばか」「死ね」などの暴言を日常的に受け、20年7月に自殺した。この上司と別の上司との板挟みで業務が遅滞し、直前の約2カ月で計約180時間の超過勤務を余儀なくされた。
 原告側代理人によると、国は21年6月に公務災害と認定。原告側は直属の上司にも損害賠償を求めた。訴訟は分離され、地裁は23年5月、請求を棄却した。
 北部方面総監の末吉洋明陸将は「国の主張が裁判所の理解を得られなかった。判決内容を慎重に検討し、関係機関と調整し適切に対処する」とコメントした。
(共同通信社)