異動・配置施策を見直すための視点と
今後の異動・配置のあるべき姿
近年、変化する事業環境への対応や仕事と報酬のアンマッチ解消などの目的で、ジョブ型人事制度に対する関心が高まっており、導入企業は増加している。ジョブ型人事制度においては、経営戦略・事業戦略に基づく組織構成や要員ニーズを起点とする「適所適材」の人材配置が中心となる。また、従業員エンゲージメント向上等の観点から、自律的キャリア形成を掲げる企業も多い。こうした人材マネジメントの在り方の変化に伴い、人事異動・配置転換の考え方を見直すケースは少なくない。しかし、欧米などで運用されている厳密な “ジョブ型雇用” でない限り、従来型の会社主導による人事異動・配置転換が完全になくなるわけではなく、このバランスをどう保つかが課題となっている。
本記事では、ジョブ型人事制度や人事異動に関する現状を概観した上で、異動・配置施策を見直す際の視点、自律的キャリア形成を踏まえた異動・配置の考え方について、株式会社パーソル総合研究所の藤井 薫氏に解説いただいた。

ふじい かおる
株式会社パーソル総合研究所 シンクタンク本部 上席主任研究員