厚生年金基金、当面存続 加入者12万人に配慮

 厚生労働省は28日、会社員の厚生年金に上乗せする企業年金の一種「厚生年金基金」を当面存続させる方針を決めた。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に示し、了承された。現行法は基金の存廃を3月末までに検討すると定めていた。現在は5基金に計約12万人が加入しており、受給者の権利に配慮した。
 基金は運用に失敗すると、厚生年金の資産にも損失を出す恐れがある。決定した方針では、基金の財政状況が健全なうちに別の企業年金に移るか解散すべきだとの意見が部会で出たと明記。存続は「恒久的ではなく経過的にとどめる」とし、今後も検討を続けるとした。
 基金は運用資産を増やすため、それぞれの資金に加え、厚生年金の一部を国から「代行部分」として預かって運用。ピーク時には1800以上の基金があった。バブル経済崩壊や2008年のリーマン・ショックなどで運用成績が落ち、資産が不足する「代行割れ」が問題となった。
 このため14年に現行法が施行され、企業年金の「確定給付年金」などへの移行や、解散を促した。財政基準を満たさない基金には、厚労相が解散を命令できる。存続する5基金はいずれも基準をクリアしている。
 企業年金連合会によると、5基金は全国信用金庫、国会議員秘書、全国信用保証協会、道路施設協会、三井不動産リアルティの各厚生年金基金。
(共同通信社)