障害者雇用100万人突破 共生実現へ就労機会増 法定率引き上げ影響も

 厚生労働省が27日発表した2023年度の障害者雇用実態調査によると、全国の民間企業(従業員5人以上)で働く障害者は推計110万7千人で過去最多だった。前回の18年度調査と比べて25万6千人増え、初めて100万人を突破した。平均勤続年数や収入も伸びており、共生社会の実現に向け、就労機会が広がり、障害者が安定的に働ける環境が整いつつあると言えそうだ。
 民間企業の法定雇用率が現行の2・3%から24年4月に2・5%へ引き上げられるのを前に、企業の採用意欲が向上していることも要因とみられる。
 内訳は身体障害52万6千人、知的障害27万5千人、精神障害21万5千人、発達障害9万1千人だった。複数の障害がある人はそれぞれ計上した。
 身体障害で見ると、1週間の労働時間は「通常(30時間以上)」が75・1%で最も多かった。続けて「20時間以上30時間未満」15・6%、「10時間以上20時間未満」7・2%の順に多かった。他の障害でも「通常(30時間以上)」がトップだった。平均勤続年数も全ての障害で伸びた。
 正社員の割合は、身体59・3%、発達36・6%、精神32・7%、知的20・3%の順で高かった。職業の分野別では、身体と精神が事務職、知的と発達がサービス業に就く割合が高かった。
 23年5月の平均月給は、身体23万5千円、精神14万9千円、知的13万7千円、発達13万円の順に高く、全ての障害で前回より上昇した。
 調査は23年6月に実施。従業員5人以上の民間企業から無作為に抽出した約9400社を対象とし、6406社からの回答を基に人数を推計した。
(共同通信社)