自民党の合同会議は18日、外国人労働者を中長期的に受け入れる特定技能制度の対象にバスやトラック運転手などの自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加する政府方針を了承した。即戦力として最長5年滞在できる特定技能1号の対象分野が、今の12分野から16分野に拡大。特定技能全体の受け入れ見込み数は2024年度からの5年間で最大82万人と試算され、19~23年度の見込み数の2倍超になる。
人口減少を背景にさまざまな産業で人手不足が深刻化しており、外国人労働者を担い手として受け入れる狙いがある。政府は月内に方針を閣議決定し、パブリックコメント(意見公募)を経て開始する。
自動車運送業はバスやタクシー、トラックの運転手が対象。国土交通省の「運転者職場環境良好度認証制度」で一定基準を満たした事業者のみ、特定技能での受け入れを可能とした。トラックでは、運転手の残業時間規制に伴い、物流が停滞する「2024年問題」が懸念されており、解消につなげたい考えだ。
鉄道では、技能実習で現在も受け入れている車両製造や軌道整備などのほか、運転士や車掌、駅員ら運輸係員の業務も対象とする。また、既に特定技能にある製造業分野に繊維や鉄鋼、印刷業務などを加える。繊維では、技能実習で労働問題が頻発したことから、業者の参入要件に勤怠管理の電子化などを設けた。
政府は外国人材受け入れ制度の大幅な見直しを進めており、15日には、技能実習に代わる新制度「育成就労」の創設に向けた関連法案を国会に提出した。育成就労と特定技能を一体的に運用し、人材の定着を図る。
出入国在留管理庁によると、特定技能の外国人は23年12月末時点で1号が約20万8千人、2号は37人。
(共同通信社)