法律で義務付けられた障害者雇用を巡り、企業に貸農園などの働く場を提供して雇用を事実上代行するビジネスが増えていることを受け、「日本農福連携協会」は29日、今後に向けた提言を盛り込んだ報告書をまとめた。ビジネス事業者と利用企業、国に対し、障害者が職業能力を向上させ、成長できる機会を提供するよう求めている。
同協会は昨年2月、有識者らによる研究会を設置。農園の現地調査や関係企業への聞き取りを行ってきた。
報告書は、代行ビジネスの利点として「障害者が大企業に雇用され、最低賃金以上を受け取れる」「企業が容易に法定雇用率を達成できる」といった点を挙げた。一方、農産物が販売されないケースが多いため「働いた成果で報酬を得るという労働の本質から大きく外れている」「仕事にやりがいを持てない」「利用企業が適切に雇用管理をしていない例がある」などと問題点を指摘した。
その上でビジネス事業者には、農産物の販売に向けた戦略や、他の職場への配置・就職に向けた支援などを要請。利用企業には、経営方針や人材戦略の中で障害者雇用を捉え、責任を持って雇用管理を行うよう求めた。
国に対しては、代行ビジネスがより良い形になるよう指導すべきだと指摘。企業が雇用を生み出せるような条件整備や仕組みづくりを求めた。
(共同通信社)