石綿メーカー4社賠償確定 最高裁、札幌訴訟上告棄却

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い肺がんや中皮腫を発症したとして、北海道の元労働者ら38人が主要建材メーカーに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は双方の上告を退ける決定をした。21日付。請求を全面的に退けた一審判決を変更し、メーカー大手4社に賠償を命じた二審判決が確定した。
 2022年の二審札幌高裁判決は、メーカー4社が1973年には屋内作業での石綿の危険性を認識できたと指摘。翌年以降、警告表示をする義務があったのに怠ったとして、原告47人のうち39人に計約1億6千万円を支払うよう4社に命じた。残り8人については警告表示義務を認めず一審と同様に請求を退け、4社と原告のうち38人がいずれも上告した。
 原告側代理人の長野順一弁護士は22日、取材に「認められなかった人がいるのは残念。全員救済してほしかった」と話した。
 建設石綿訴訟では21年5月の最高裁判決が国の責任を認め、国との間では基本合意に沿った形で原告全員が和解。各地で建材メーカーの責任が争われている。
(共同通信社)