連合と経団連トップ会談 物価高上回る賃上げ確認 中小価格転嫁へ重要局面

 2024年春闘が始まったことを受け、連合の芳野友子会長と経団連の十倉雅和会長が1日、東京都内で会談した。物価高を上回る賃上げを実現する方向性を確認し、労使交渉を勢いづかせたい考えだ。今春闘は、中小企業がコスト上昇分を取引価格に上乗せする価格転嫁の動きが定着するかどうかも占う重要局面となる。
 会談の冒頭が報道陣に公開され、十倉氏は賃上げの勢いを中小企業まで波及させることが重要だと指摘し「価格転嫁や価格上昇のネガティブな意識を社会全体で変える必要がある」と述べた。
 芳野氏は中小企業の賃上げ原資を確保するため、大企業との取引価格を適正化することが必要だと強調。「大企業は自ら進んで価格転嫁の努力をし、中小、小規模事業者は遠慮せずに交渉を持ちかけてほしい」と訴えた。
 会談は十倉氏が1月下旬に財界の訪中団に同行したため、通例の「労使フォーラム」から日程をずらしての開催。
連合は今春闘で、ベースアップ(ベア)と定期昇給分を合わせて「5%以上」の賃上げを求める闘争方針を掲げ、経団連も理解を示している。
 十倉氏は1月29日の定例記者会見で、労使の目指す方向は同じだとした上で「デフレからの完全脱却の正念場だ。構造的な賃上げに向けて一緒にやりたい」と強調した。
自動車や電機といった大手企業の労組側は2月中旬ごろ経営側に要求書を提出。3月中旬に集中回答日を迎える。その後、中小企業の回答が続く。
(共同通信社)