2024年01月26日掲載

BOOK REVIEW - 『人事担当者のためのハラスメント防止研修ハンドブック ハラスメント防止研修の準備 実践 研修後まで』

樋口ユミ 著
株式会社ヒューマン・クオリティー代表取締役 
四六判/208ページ/1200円+税/朝日新聞出版 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 一般に研修の内製化は、セミナーや市販教材では補いきれない自社の実態に沿ったフォローが可能になる一方、社内の担当者にとって業務負担が大きい。本書は、担当者としてハラスメント防止研修のトレーナーを務めるに当たり必要な基礎知識、研修の設計方法、進め方から実施後のフォローまでカバーする。ハラスメントが組織全体に及ぼす影響や、人によってハラスメントに対する意識が大きく異なる背景、そもそもなぜ研修を実施する必要があるのかなど、トレーナー自身も納得できる解説が随所に盛り込まれている。

■ 本書内の解説は、そのまま研修に活用できるようにまとめられている。第1章では、パワハラ、セクハラ、マタハラに加え、優秀な社員が同僚に過度なレベルの成果を要求する「モラルハラスメント」や、上司の指導をハラスメントと訴えて全く受け入れない「ハラスメントハラスメント」など、11の事例が取り上げられている。各事例の中から不適切な対応を指摘し、望ましい適切な対応を提案する――という両面からフォローする。また、研修の設計方法を解説する第3章では、2時間の研修を階層別に実施することを想定して、研修内で示すレジュメやワークシートの例が示されているため、実際の研修用のスライドとして転用できるだろう。

■ ハラスメント防止研修は実施後が重要だ。最終章の第5章では研修後のアンケート項目の例や、受講者のその後の言動でチェックするべき点、相談窓口の運営について詳解する。研修を「やって終わり」ではなく、相手を尊重する風土づくりにつながるものとなるよう、社内で設計を意図する担当者にはぜひ手にしていただきたい1冊だ。

人事担当者のためのハラスメント防止研修ハンドブック ハラスメント防止研修の準備 実践 研修後まで

内容紹介
企業の担当者がハラスメント防止対策をすぐに実践できるノウハウを盛り込んだ一冊

近年、大きな労働問題になっているのが職場で起きるハラスメント。
2019年の「改正労働施策総合推進法」の成立によって企業のハラスメント防止対策が義務付けられました。
主な対策義務は、社内規程策定などの環境整備、相談窓口の開設、社内研修の実施など。これらを企業の担当者が一から行うには大変な労力が必要になります。
そこで本書は、ハラスメント研修の設計と実践を中心に、社内規程の策定、相談窓口の開設、そしてハラスメントが起きた時の対応などをわかりやすく解説。