転職を希望する人が今年7~9月平均で1035万人に達し、四半期ベースで初めて1千万人を超えたことが29日、総務省の労働力調査の推計値で分かった。全国の就業者は6768万人で、6人に1人が転職を望んでいる計算になる。終身雇用に対する意識の変化、収入や長時間労働の不満に加え、人手不足で労働者側の「売り手市場」の様相が強まっていることが背景だ。
7~9月平均で転職希望者を年齢別にみると、25~34歳が273万人と最も多かった。次いで45~54歳が243万人、35~44歳も226万人と200万人を上回った。
55~64歳は140万人、15~24歳は100万人となった。65歳以上も54万人いた。男女別では、男性が527万人、女性は507万人。実際に転職したのは希望者の約3割に当たる325万人と推計した。
来年2月発表の2023年平均の転職希望者は、年平均として初めて1千万人を超える公算が大きい。転職希望者は22年平均で前年比71万人増の968万人と大幅に増加した。13~21年は各年平均800万人台で推移していた。転職希望者数を含む労働力調査は、無作為に選んだ全国1万世帯に実施し、3カ月に1度推計値を公表している。
転職希望だけでなく、企業の採用意欲も高まっている。求人情報サイト大手のエン・ジャパンが、転職コンサルタント200人に実施した来年の求人動向アンケートによると、約8割が35歳以上対象の求人が「増加する」と答えた。「IT・インターネット」「メーカー」といった業種を中心に、40代前半で課長級の求人が増えるとの予測が多かった。中堅社員の離職が相次げば、業務運営が難しくなる恐れがある。
転勤が多く、働き方が硬直的というイメージがある大企業を辞め、ベンチャー企業などに転職する動きも活発化している。リクルートで転職動向を分析する責任者は、経験にとらわれず、成長を期待できる産業や企業に労働者が移っているとの見方を示した。
(共同通信社)