大手繊維メーカー「クラボウ」の元社員の男性が、暴言を浴びせられるなどのパワハラを受け退職を余儀なくされたとして、同社と元執行役員に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大阪地裁であった。伊沢大介裁判官は、元執行役員によるパワハラがあったと認め、計55万円の支払いを命じた。
判決によると元執行役員は2021年2月以降、部下だった男性に「アホ」「辞めさせたるぞ」などと日常的に発言。新入社員の前で男性を名指しし「本当に無能」と言うこともあった。男性は同9月に退職した。
伊沢裁判官は判決理由で、一連の言動について「社会通念上許容される限度を超え、相当性を欠く」と指摘し、退職との因果関係を認めた。
クラボウは、社内調査でもパワハラを認定し、元執行役員を処分したと明らかにした上で「精神的な苦痛を負わせ深くおわび申し上げる。判決を真摯に受け止め、安心して仕事に取り組める職場風土の構築に向け社内教育を実施していく」とのコメントを発表した。
(共同通信社)