政府は雇用保険から支払われる育児休業給付の財源のうち、国庫負担の割合を現在の「80分の1」から「8分の1」へと引き上げる方針を固めた。育休給付は近年、増加傾向にあるため、国庫負担を手厚くして雇用保険の財政を安定させる狙い。2024年度から見直す。関係者が19日、明らかにした。
鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相が20日に折衝し正式に決定する。
雇用保険の財源は、労使が支払う保険料に加え、国庫負担によって賄われている。22年度は育休給付に関し国庫から約88億円が拠出された。
共働き世帯の増加によって育休取得者が増加。政府は「次元の異なる少子化対策」で、男性の育休取得率を25年までに50%、30年までに85%へと引き上げる目標を掲げた。給付はさらに膨らむ見通し。政府は早期の国庫負担引き上げが必要だと判断した。
育休給付の国庫負担割合は本来8分の1だが、現在は暫定措置として80分の1に縮小されている。厚労相の諮問機関、労働政策審議会の部会では委員から国庫負担引き上げを求める意見が相次いでいた。
育休給付は現在、育休を取得した人が、社会保険料免除と併せて手取り収入の実質8割を受け取れる。25年度からは両親共に育休を取得した場合、実質10割がカバーされるよう給付率を引き上げる。
厚労省は育休給付の雇用保険料率を現行の労使合計0・4%のまま当面据え置きつつ、保険財政の状況に応じて弾力的に変更する仕組みの導入を検討している。
(共同通信社)