政労使会議、地方版開催へ 来春闘で、厚労省通達 賃上げ機運醸成狙う

 2024年春闘で大幅な賃上げを全国に波及させようと、厚生労働省が各都道府県の労働局に対し、地元の経済界や労働団体の代表者と意見交換するための会議を開くよう求める通達を出したことが19日、政府関係者への取材で分かった。首相と連合、経団連のトップが協議して成果につながった「政労使会議」の地方版と位置付け、機運醸成を狙う。
 通達では、来年1、2月を中心に会議を開き、賃上げに向けて話し合うよう指示。配偶者に扶養されるパート従業員らが社会保険料の負担を避けるため労働時間を抑える「年収の壁」も主なテーマとする。都道府県の知事や幹部らに出席を要請するという。
 23年春闘では、歴史的な物価高を背景に8年ぶりとなる政労使会議が開かれ、岸田文雄首相と連合の芳野友子会長、経団連の十倉雅和会長らが賃上げに向けた環境整備の必要性などで認識を一致させた。機運が高まり、自動車や電機といった大手企業が労組要求に満額回答するなど、高水準の賃上げが相次いだ。
 一方、労働者の7割が働く中小企業は大企業と比べて低水準にとどまった。24年春闘に向け、今年11月に開かれた政労使会議では、中小企業や地方での賃上げが主要議題となり、連合は、都道府県レベルでも政労使による会議を開くよう求めていた。
 地方版政労使会議では中小企業の原資確保に向け、大企業との取引価格を適正化するための政府指針を周知。地方経済産業局との情報共有など関係機関の連携も図る。
(共同通信社)