必要な決裁を経ずに職員を雇い高額な給与を支払ったとして、大分県国東市が国東市民病院の元事務長に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は12日、1188万円の支払いを命じた昨年12月の一審大分地裁判決を取り消し、市側の請求を棄却した。
高瀬順久裁判長は判決理由で、一審に続き給与支給に違法性があると認めたが、雇用された職員が整形外科医を確保するなど「病院の増収に多大な寄与があった」と指摘。損害額は得られた収支改善分を差し引くのが相当だと判断した。
判決によると、2015年4月、民間病院に勤務した経験のある男性を18年9月までの任期で職員に任用。17年度には前年度比で1億円を超える増収があるなど、病院の財務状況が改善した。病院は18年9月、違法な雇用に関与したとして元事務長を停職処分とした。
(共同通信社)