政府が雇用保険の加入要件である週の労働時間を現行の「20時間以上」から「10時間以上」に緩和する方向で検討していることが分かった。複数の関係者が21日、明らかにした。パートら短時間労働者約500万人の加入が見込まれ、失業や育児休業に伴う給付を受け取れるようにする。働き方の多様化を踏まえ、雇用のセーフティーネットを強化して収入を安定させ、安心して出産や子育てができる環境をつくる狙い。
2024年の通常国会で関連法案を提出し、28年度にも実施する。厚生労働省が年内に開く労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の部会で案を示す見通しで、政府の「次元の異なる少子化対策」の一環となる。
雇用保険に加入すると、労働者と企業の合計で賃金の1・55%を保険料として支払う。このうち労働者が0・6%を負担している。加入により、職を失った際の失業給付や、育休取得時に休業前の手取り収入額の実質8割を受給できる育休給付などの対象となる。失業給付の基本手当は日額で29歳以下が6945円、60~64歳は7294円が上限となる。育休給付に関しては、両親が共に育休を取った場合、手取り収入額の実質10割に引き上げる方針。
新型コロナウイルス禍の影響で雇用保険財政は危機的な状況。雇用保険に加入する人が増えれば、保険料収入が増える半面、給付による支出も増える。
現在の雇用保険の加入要件は、週20時間以上働き、31日以上の雇用見込みのある場合。「20時間以上」は約30年間維持されてきた。柔軟な働き方の広がりなどに対応するため「10時間以上」への緩和を調整する。
(共同通信社)