離職防止へ介護休業周知 政府、全企業に義務化方針 24年法案提出目指す

 政府は20日、家族を介護する必要がある従業員に対し、介護休業など仕事との両立支援制度を周知するよう全ての企業に義務付ける方針を示した。介護を理由に仕事を辞める人は年間10万人を超える。支援制度を知らないまま離職する人がいるため、周知して介護離職を防ぐ狙い。2024年の通常国会に育児・介護休業法の改正案提出を目指す。
 厚生労働省がこの日に開いた労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会に提示した。委員から「介護が必要なことを社員が申し出やすい環境づくりが重要だ」などの意見が出た。
 両立を支援する制度として現在、介護が必要な家族1人につき計93日取得できる介護休業や、年間5日使える介護休暇がある。利用者は介護している従業員の約11%にとどまっている。厚労省は、制度を知ってもらい利用を促したい考えだ。
 厚労省が示した方針では、40歳になって介護保険に加入する際、全従業員に介護休業などの支援制度を書面で知らせることを企業に義務付ける。従業員から個別に家族の介護が必要だと相談や申し出があった場合にも、面談などを通じて利用できる制度を知らせることを義務化する。
 家族を介護している従業員の働き方については、テレワークを選択できるようにすることを努力義務とする。
(共同通信社)