横浜市の建設測量会社「川久保企画」で勤務していたベトナム国籍の男性が退職を申し出た際、就労準備費用として約85万円の支払いを請求された訴訟と、これらにより男性が精神的苦痛を負ったとして同社に110万円の損害賠償を求め反訴した訴訟の判決で、横浜地裁は15日、双方の請求を棄却した。
高取真理子裁判官は、同社が男性と雇用契約を結んだ際、退職時に渡航費などの就労準備費用を負担することに合意した証拠はなく、請求は認められないと判断した。
一方で「退職するなら来日させるために払ったお金を払え」という同社社長の発言や、費用の支払いを求める提訴は不法行為とまでは言えないとして、違法な退職妨害に当たるとの男性側の主張を退けた。
男性の代理人の宮城知佳弁護士は取材に「就労準備費用の請求が棄却されたことは有意義だった。企業と労働者双方に対する注意喚起になればいい」と話した。
川久保企画は「コメントできない」とした。
判決によると、男性は2021年に来日。パワハラや長時間労働を理由に退職届を提出すると、同社から就労準備費用の返還を求める訴訟を起こされた。
(共同通信社)
2023年11月15日 共同通信社