フリー全業種、労災対象へ 保険加入270万人に拡大

 企業に属さないフリーランス(個人事業主)として働く人たちの生活を保障するため、厚生労働省は任意で労災保険に加入できる制度を、配達員などの一部業種から、原則、全業種に広げる方向で議論を進めている。対象者は約270万人に上ると見込まれ、早ければ2024年秋からの運用を目指す。
 厚労省によると、フリーランスが自己負担で労災保険に加入できる「特別加入制度」は現在、食事宅配サービスの配達員や歯科技工士、個人で建設業に従事する「一人親方」といった25業種が対象。新制度では、企業から業務を委託される全業種に認められ、デザイナーや研究者、コンサルティング業なども対象となる見通しだ。
 個人で仕事を請け負うフリーランスは増加しているが、企業との雇用関係がなく、業務起因のけがや病気をしても、療養費や休業補償が労災保険でカバーされないことが問題視されてきた。
 厚労省は特別加入の対象業種を徐々に拡大。今年5月に公布されたフリーランス保護新法の付帯決議では、さらに幅広く加入できる制度を求めており、同省の審議会が10月から本格的な議論を始めた。24年秋の保護新法施行に合わせ、労災保険法の省令改正を目指すという。
 企業に雇用される労働者の場合、企業が労災保険に加入して保険料を全額負担する義務がある。
(共同通信社)