2023年10月13日掲載

BOOK REVIEW - 『障害のある方と共に働く 人の可能性を拡げるために必要な前提と技術』

汐中義樹 著
株式会社レオウィズ 代表取締役 
四六判/144ページ/1600円+税/日本橋出版 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 民間企業における障害者雇用率は今後段階的に引き上げられ、現行の2.3%から2026年7月には2.7%となることが予定されている。また、2024年4月から雇用率算定の対象者が拡大されることもあり、今後、民間企業で雇用される障害者は増加していくとみられる。障害者の定着、戦力化がいっそう重要となる中、企業や職場によっては“初めて障害者と共に働く”というケースも出てくるだろう。本書では、専門的な知識のない方でも読みやすいよう、障害の捉え方や障害者との関わり方を平易かつ丁寧に解説していく。

■ 著者は30歳過ぎで特別支援学校の教員になった経歴を持ち、そこで初めて障害者と出会い、理解を深めていった。その後起業し、現在は、ビジネスの現場で障害者雇用のサポートに携わっている。学校現場の知見をビジネス現場でも活用できるよう、障害者との「関わり方」や「教え方」のノウハウをまとめたのが本書である。第1章では、著者の実体験から障害者との出会いを振り返り、障害者と関わる上で大切な保護者との関係についても触れる。続く第2章では障害者雇用の最新動向や企業が抱える課題を取り上げ、第3章では「教える」とは何かを探っていく。この章では特別支援学校の現役教員との座談会も収録されており、障害者との関係づくりを考える上で役立つヒントを得ることができる。

■ 最終第4章は、本書のメインである、障害者と共に働くために押さえるべき「関わり方・教え方」について、それぞれ三つのポイントに絞って解説する。コミュニケーションの考え方から実際の場面で活用できるスキルまで分かりやすく紹介されており、職場で実践しやすいものとなっている。本書は、「障害」は社会の側が作り出していると考える「社会モデル」を基に、障害種別の個別的・具体的な方法論ではなく、私たちが「障害」をどう捉え、どう考えることが必要なのか――という、障害者と関わる上での基礎を中心としており、障害者雇用の「入門書」として多くの方におすすめしたい一冊だ。

障害のある方と共に働く 人の可能性を拡げるために必要な前提と技術

内容紹介
初めて障害者雇用の担当になった人事の方、
社内でDE&Iを推進する立場の方、
障害者雇用に関心の高い方の必読の「入門書」!

職場にある「障害」を乗り超えるための「仕事の教え方」や「関わり方」といった障害雇用に関する企業課題を、障害者雇用コンサルタントの著者が、特別支援学校元教諭の経験を活かし「教育」の力で解決!

本書では「障害とは何か」について基本的な考え方を学んだのち、具体的な「関わり方」や「教え方」について紹介します。「教えるって難しいけど、最高に楽しい」と思った時、真のDE&Iが実現するはずです。