パートら雇用保険加入拡大 300万~500万人影響 厚労省、法改正へ本格検討

 厚生労働省はパートら短時間労働者の雇用保険の加入拡大など雇用保険制度見直しに向けた検討を本格化させている。新たに約300万~500万人が加入する可能性があり、失業給付や育児休業給付を受け取れる人が増える。育休明けで時短勤務をする人への給付創設も議論。年内に結論を出し、来年の通常国会に関連法案提出を目指す。
 働き方の多様化を踏まえ、雇用のセーフティーネットを強化して収入を安定させ、安心して出産や子育てができる環境をつくるのが狙い。政府がことし6月に決定した「次元の異なる少子化対策」の方針で、制度見直しの方向性を明記した。
 雇用保険の加入は現在、週20時間以上働くことになっていて、31日以上の雇用見込みがある人が対象。厚労省労働政策審議会の部会で、どこまで要件を緩和するか調整する。週10時間以上とした場合は約500万人、15時間以上の場合は約300万人の新規加入が見込まれる。
 育休明けに時短勤務をし、収入が減っている従業員向けの給付制度も設ける方針で、給付水準や要件について今後固める。育休給付に関しては、子どもの出生後、男女共に育休を取得すれば最大28日間、手取り収入額の実質10割を支給する制度について詳細を詰める。
 働く人の賃金上昇に向けたリスキリング(学び直し)も重視する。教育訓練中の給付や融資制度の創設を検討する。
 育休給付などを賄う雇用保険財政の基盤強化も論点となる。武見敬三厚労相は10月6日の記者会見で「(新型コロナウイルス禍の支出増により)財政状況は危機的だ」と指摘。労使が支払う雇用保険料率の引き上げや、国庫負担の増額といった対応が必要となる。
(共同通信社)