長時間労働で脳出血と認定 NEC支店長側、逆転勝訴

 NEC(東京)の岡山支店長だった男性=当時(47)=が2014年に脳出血を発症し、約2年後に死亡したのは業務が原因だとして、妻(55)が国の遺族補償不支給処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は26日、「時間外労働の点において過重な業務に従事していたと言える」として、請求を棄却した一審判決を取り消し、国の処分を取り消した。
 岡田健裁判長は判決理由で、発症前6カ月間の時間外労働時間は平均81時間に達したと指摘。勤務間のインターバル不足なども考慮し、業務起因性を認めた。昨年9月の福岡地裁判決は、平均約76時間と算出していた。
 一、二審判決によると、男性は14年4月、広島県にある中国支社での会議中に救急搬送され入院。福岡県の病院に転院して治療を受けたが、16年3月に死亡した。妻は18年11月、遺族補償年金などを岡山労働基準監督署に請求したが、19年1月に不支給決定を受け、審査請求なども退けられた。
 妻は代理人弁護士を通じ「働きぶりを知っていたので、倒れた時には労災と確信していた。夫の頑張りがようやく報われた」とコメントした。
 岡山労基署は取材に「判決精査中のため、コメントを差し控える」と答えた。
(共同通信社)